まずはその幻想を

幻想殺しの矛盾の象徴としてさんざん槍玉に挙げられてた超電磁砲の無効化について、円環少女の遡行抵抗理論を応用してみると割合すんなり受け入れられるんではなかろうか。超能力とか魔術を区別するのも面倒なんで、ここでは超自然的な現象を魔術と呼称する。

・魔術消去は継続的な現象であり、消去にかかる時間は魔術の強度に比例する。
・魔術行使の結果で発生した物理現象を無かったことにはできない。
・魔術を消去しても魔術によって起きた物理現象を止めることはできない。
つまり、魔術で岩を持ち上げて頭上に持ってこられた時に魔術を消去したら、
岩が持ち上がらなかったことにされるのではなく、支えを失った岩が落ちてくる。
ただし、魔術を消去しきる前に岩の下から逃げ出すことは出来るかもしれない。

魔術消去が術者にたどり着くまでの過程に物理現象を挟むことで消去に耐性を持たせることが出来る、というのが遡行抵抗の理屈。
いま円環少女が積み本の中に埋まってて手元にないんで間違ってたらすまん。
 
さて、既に電荷を集積済みのところに右手を突っ込んで消去してみたり、超音速で飛んできたコインに右手をかざすと無傷で止められたり、一体どーなってんだと大好評な我等が当麻くんの幻想殺し
俺たち読者は無意識に遡行抵抗理論を適用して解釈してたため、魔術を消してもコインは止まらないだろ、とツッコんでた訳だ。魔術の観測方法が右手の接触に限定されてること以外はそのまま適用できるし。
しかし、幻想殺しの力がもっとアグレッシブなものだったとしたらどうか。
時空を越えて因果関係を断ち切れるならビリビリもコインも止められる。岩の例で言えば、まさに”岩が持ち上がらなかったことにされる”。右手で傷に触れてもケガが直らないのは、原因となる魔術に右手で触れなかったから傷を負ったんだと言い抜けできる。
再び岩の例を挙げれば、
・魔術で岩を支えてる時点で岩に触れれば岩が持ち上がらなかったことになる。
・岩を支える魔術を切った後で岩に触れても無かったことには出来ない。
てなところか。消去に時間がかかることもないので、遡行抵抗もへったくれもなく、魔術を使ってるところに右手を当てられれば無傷。
円環大系の雷撃も、電荷の集積だけやりゃいいってもんじゃないんだから目標に収束させるための技術があるはず。その影響を受けて電子が放たれる以上は、集め終わって撃ち出された電子にも魔術の影響が及ぼされている。充分消去可能。
というわけで。当麻を魔術で倒すには、右手で壊しきれないくらいの手数を出すか、右手で触れない場所(体内とか上空とか)に魔術をかけるのが上策かと。