私立!三十三間堂学院4

読んだらすぐ書きゃいいんだろうけど、なかなかそうもいかなくて。
 

私立!三十三間堂学院〈4〉 (電撃文庫)

私立!三十三間堂学院〈4〉 (電撃文庫)

裏山という修験の跡に見え隠れする、雲という水塊。どうやら水面下の謎の根は深く、重い。
生徒の運命は神が遊ぶ双六だとしても、頂上までは一天地六の賽の目次第。雨と出るか邪魔と出るか、謎に挑む登山大会。
次回、相良佳耶。
法行、敢えて雨中の竜を拾うか。
 
 
次回つーか今回なんだけどね。
今回の友達候補は、誰もが信じざるを得ないほど絶対に発動する雨女、相良佳耶。舞台は学院の裏山に並ぶ33ヶ所のお堂巡り。
イベント時には必ず雨を降らせるがゆえに欠席するつもりの佳耶を、あの手この手で引っ張り出そうともくろむ法行たち。そして当事者たちの預かり知らぬところで巻き起こる勘違いと嫉妬と謀略の嵐。果たして法行と佳耶の友達付き合いなるか!?
 
三十三間堂学院のすごいところ。
・地の文をとっぱらってセリフと描写だけ見れば、全くもって平凡なハーレム系ラブコメ。なのに、表現に一工夫加えるだけで全然別の面白さ。まさに学園群雄戦略ラブコメ。戦闘力を交渉の材料に認めて積極的に活用するのって、学園ラブコメとしては画期的だと思われる。腕自慢、体力自慢なキャラ立てはありふれているが、本作はそんなレベルじゃない。「戦争は外交の一手段」を体現するラブコメなんて見たことねえw 巻頭に等高線入りの地図が入るラブコメもww
・ストーリー主導型のゲームなんかにありがちな予定調和を取り入れず、人物関係のシミュレートを緻密に施していく構成力。なにしろ各キャラの思考を本音も建前も全部描いて、全員を各自の最適解に向けて動かすわけだ。その衝突ぶりを過不足なく描いているのに、行動にも描写にも違和感を感じさせない。そして頭が切れるキャラがキチンと頭良く見える。これって相当な筆力では?
・ギャルゲ的なお約束のもと、落としどころに持っていく萌え力。メインキャラたちは群像劇の英雄として燃えるのみならず、ヒロインとしても萌える。そこを外しちゃラノベ失格だしね。小ネタも相変わらず山ほど仕掛けられてる。萌え本地垂迹はもちろん、呆れるくらい多方面のネタの数。「喫茶店ダッソー・ミラーズ。通称マダム・ダッソーの館。飛び抜けて美味しいものはないが、平均点以上の安定感と手頃な価格が売り」って、たった3センテンスでどれだけネタ突っ込んでんだw
 
 
結論。いつもの佐藤ケイ