全竜交渉とは何だったのか

厚!
1000ページ越えてるよ! 京極並みだよ! 片手で読むと小指痛くなるよ!
色々な意味でかつてない形の電撃文庫、ようやく読了。
ストーリーの方は、非常に納得いく終わり方です。つかこれ以外ありえねえ。
「逢えば変する奴ら」を地で行くハッピーエンドっぷりがサイコー。
エロとセメントとシューティングがドトウのごとく波状攻撃してくるところもサイコー。
 
しかし、気になるところもある。
エロとセメントとゲーム的表現がワンパ過ぎないかというのは、これは川上氏の持ち味であってファンにはこれがたまらんからさて措くとして。
『12のGというギミックとUCATという舞台が「物語を成立させるためだけの仕掛け」になっていないか?』
・都市シリーズの時に比べて世界観が説得力に欠ける印象がある。概念条文の中には「ホントにそんな法則が要るんかよ!?」とか首をかしげるものもあって、各Gの概念について統一的な理念が感じられないというか、遺伝詞工学(と言っていいんか?)が確立してないというか。
あとLow-Gの世界構造を口絵で見せてほしかった。慣れ親しんだ世界がどう表記されてるか知らないと、他のGがどう描いてあっても抽象的にしか理解できないです。
・各Gの歴史の不自然さ。1st-Gや2nd-Gで特に強く感じられたけど、60年前に起きた滅びの様子が古のエッダに記されてるのは何故かとか、名前の力と名を立てる行為はどっちが卵でどっちが鶏なのかとか、その辺りが練られてないまま登場人物が独り歩きしてるように感じる。
・概念核の扱いのぞんざいさ。一つのGを象徴するはずの概念核が単なる便利道具扱いされてる。竜の意志が(性格が、じゃないよ)後半に進むほど軽くなってる。そもそもプラスの概念殻=世界がそんなに簡単に作れるんなら命刻にも別の解決方法があるんじゃないのか?
などなど。
 
読み込みが足らんと言われればそれまでだけど、都市シリーズに比べても世界設定に不自然さがありありと感じられるんだよなー。
ぶっちゃけ、都市世界を想像してTRPGのルールブックつくるのは楽しそうだけど、AHEAD世界のルルブはつくれないというのが個人的感想。