空とタマ

空とタマ―Autumn Sky,Spring Fly (富士見ミステリー文庫)

家出した少年が当面の根城に選んだ古い倉庫には、何かが居た。
少年は先住者に挑む。寝床を確保するために、倉庫で繰り広げた醜態を隠蔽するために、その他の理由のために。
　
富士ミスの初体験プロジェクト第2弾。なんてこっぱずかしいイベント名だ。
しかし、名前に騙されてはならない。むしろ、ある意味とっても正しいネーミング。
L・O・V・E！を求めて富士ミスを初めて手に取る人にお勧めするための本として、これほど適切な本があるだろうか。いやない。
愛でも恋でもエロでもラブでもなく、「L・O・V・E！」ですよ。これぞL・O・V・E！
他は何を書いてもネタバレになっちゃうんでとにかく読むのだ。
　
この作者が出している富士見ファンタジアの二ノ宮くんシリーズは、個人的にはツボ。しかし正直なところ出来がいいとは言えない。俺は大好きなんだが、他人に勧められるかと聞かれたら首を横に振る。
この本は、キャラ立ての点で二ノ宮くんが抱えてる弱点は克服してるものの、裏設定を効果的に使えてないとか説明しすぎとかの辺りはあんまり改善されてない。あと、「…と思った」使いすぎ。これは中坊のロールプレイの一環なのか？　それでも手法としてはスマートじゃないよな。その他にも細かいことを言い始めたらきりがない。
それでも押す。
二ノ宮くんで懲りた人も、恐るべきプロジェクト名に引いた人も、だまされたと思って読んでみてほしい。
絶対に面白いから。俺が保証する。