図書館内乱&レインツリーの国

図書館内乱

図書館内乱

レインツリーの国

レインツリーの国

有川浩の新刊2冊。
両方読むなら、まずレインツリーのほうをお勧め。
内乱にはレインツリーのネタバレあり。
レインツリーは内乱の作中作として独立して楽しめるようになっている。ただし、ラストのどんでん返しに絡むとか、そんな深刻なバレではないので、あえて内乱を我慢するほどでもない。
笹本祐一妖精作戦を知ってると楽しさ倍増。これは知らなくても全く問題なし。


・図書館内乱の感想。
図書館戦争の路線を忠実に受け継ぎ、とことんリアルに架空舞台を描く有川浩渾身の続刊。
崇高な理念を維持するためにきわどい手段をも選ぶ組織と人のあり方。世論と建前の間で揺れ動き、消耗し、すり潰される感情。図書レンジャーとか無理に電撃っぽいフレーズ入れられると逆に当惑するw
話の枠組みとして、図書隊の設立から現在の運用と問題点までが論じられるが、違和感なく読める。そこいらの仮想戦記書きに爪の垢を煎じて飲ませたい。
政略的な動きが前巻にも増して生々しく展開する中で、恋愛模様もドラマチックに展開。そしてラストで意外な方向からパンチを食らった主人公の郁が悶えるところで以下次巻。やきもき度絶好調のアオリ文句はウソじゃなかった。やきもき。


・レインツリーの木の感想。
書評を通じてメル友になった二人の紆余曲折。
ちょっとした変化球ではあるが、スタンダードな青春恋愛小説。
図書館シリーズや怪獣シリーズに比べるとちょっと物足りないところもあるが、多様な視点から心理の推移を丁寧に拾う有川浩の良いところが生きる好著。
あとがきの自衛官の話で吹いたw あらすじだけ聞いた時には、俺もそう思ってたもん。実は伸の側の事情というのがまんまコレで、「俺かて同じやねんで」とか言い出すんじゃないかと妄想したり。
電撃出身者が一般レーベルに進出する例って、これが最初になるのかな? アンソロジーや技術的な解説本はあるみたいだけど、文芸の書き手として正面から行くのは他に例が無かったと思う。
これからも多方面での活躍に期待してます。