天地明察

天地明察

天地明察

江戸幕府四代将軍の治世下、碁打ち衆の一人として江戸城に宮仕えする二代目安井算哲、またの名を渋川春海。穏やかな物腰でお城勤めをこなしながらも半ばモラトリアムに身を置くこの男、算術へ傾倒し神道から測地に至る技芸に手を出して、それでも一生を上覧碁の披露で退屈に過ごすのだと疑いもしなかった。その人生をいくつもの出会いが変えていく。春海を徐々に真剣勝負の中に引き込んで行く。そして春海を取り巻く全ての流れが一世一代の大事業へと結実していく。”星を掴んだ男”の物語。


冲方丁の新境地。
貴様ら俺に追いつけるかと言わんばかりに文体も展開もブッ飛んでたシュピーゲルシリーズから一転、平明な語り口。奇をてらわず、それでいて熱い展開。
「安井算哲よ。天を相手に、真剣勝負を見せてもらう」
「授時暦を斬れ、渋川春海
背負いきれぬ重荷と知りながら、成し遂げるべきものを見出した春海は、あるいは幸福なのかも知れない。